呉バリアフリーツアーセンター
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呉バリアフリーツアーセンターの活動状況や、呉市内の観光バリアフリー情報を掲載してきます。

オリンピックがやってくる

2021年07月21日 17:18   呉バリアフリーツアーセンター
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お久しぶりです。瀬戸口です。呉市は梅雨も明け、
青い空高く伸びる白い雲が何とも清々しいですね。

さて、文字通り紆余曲折を経てオリンピックがやってきます。
恐らく、開催にあたりこれほどの困難を伴う大会はないでしょう。
アスリート達が技を競い、しのぎを削る世界最高峰の舞台をホストできることは
栄誉なことです。

さらに、新興国として、「一世一代の大勝負」感があったとも言えそうな
前回大会と比べれば、良い意味において「自然体」でオリンピックを
受け止められたとも言えそうです。

一方、時代が如何に変わろうとも、オリンピックを形にするのは
まぎれもなく我々人間です。大会関係者や政財界、メディア関係者に限らず、
何より市井の人々の協力があってはじめて可能になります。

それにもかかわらず、開催に至るまでの、種々の混乱や
大会関係者の周辺から聞くに堪えない「いじめ」や「差別」の
問題が続出していることをみると、他者に対する敬意が
全く感じられないことに怒りを禁じ得ません。

この大会を通して、アスリートのパフォーマンスのみならず
人間の営み・はたらきにもっと光が当たって欲しいと思います。



合理的配慮の義務化が求めているものは何か

2021年06月26日 12:20   呉バリアフリーツアーセンター
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さて、前回の記事では「障害者差別解消法」が改正され、民間事業者の
「合理的配慮」提供が義務化されたという話題を取り上げました。

私も車いすを用いる障害者の一人として今回の改正を嬉しく思います。
一方、気になることもあります。というのは、「民間事業者」に
新たな「法的義務を課した」ということだけを見ると、
この法律が私たちひとりひとりに何を求めたのか、一番大事なところが
見えなくなってしまうと考えるからです。 

「合理的配慮」はもともと、「障害者権利条約」で定めている
"Reasonable accommodation"という語を日本語にしたものです。
"Reasonable"は、「理にかなった、筋の通っている」
"accommodation"は「調整」を意味します。 

合理的配慮の提供に当たっては、事業者の事情だけではなく
何よりまず、提供を求めた側のニーズを踏まえた上でなされる必要があります。
また、「できない」ことについて「できない」ということは可能ですが、
当事者双方にとって筋が通っていることが必要です。
このように事業者に一方的な負担を求めるものではありません。

一方、配慮の提供を求める側からみると、配慮を求める権利は保障されていますが
要望した内容がいつでも、何でも満たされるとは限りません。 
要望が通らなかったからといって、それが直ちに「差別」となるわけでは
ありません。 

障害者差別解消法の特徴は、障害のある人々を取り巻く差別を
人と人の関わりの中に見出し、「対話」と「調整」によって
差別を解消し、すべての人々の権利を保障しようという作りに
なっていることです。

合理的配慮を求める権利が保障され、提供する義務が課される。
それは障害の有無に関わらず、等しく扱われる、
暖かくも厳しい社会でもあるのです。 



改正障害者差別解消法が成立−民間事業者による合理的配慮の提供が義務に

2021年06月24日 14:54   呉バリアフリーツアーセンター
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5/28、国会で改正障害者差別解消法が成立しました。
改正のハイライトは、民間事業者による合理的配慮の提供が
努力義務から義務へと改められたことです。


事業者による合理的配慮の提供を義務化するかどうかは
賛成する意見がある一方、事業者の状況や障害のある人達のニーズも
様々であることから、慎重な意見も多かったようです。


事業者の方も障害のある方もお互いの状況を踏まえながら
サービスの利用にあたって必要な調整をしましょう。
調整をするにあたって、対話の窓口を閉ざしてはいけません、
というのが、改正の趣旨です。

合理的配慮は、特別なことを求めている訳ではありません。
鉄道やバスであれば、乗り降りして目的地に向かいたい。
ホテルであれば快適に泊まりたい。
レストランであれば、美味しく食事をしたい。


こうしたニーズは、年齢や障害の有無に関係なく、
すべてのお客さんに普遍的なニーズです。
けれども、障害のある方や高齢の方の場合
さまざまな理由でそのニーズが満たされないことがあるのです。


利用にあたっての「バリア」を解消し、快適にサービスを利用する為に
何が必要かどんな対応が可能で、どんな対応が不可能か
代わりにどんな方法があるか
それを事業者とお客さんで「一緒に」考えましょう
というのが合理的配慮の考え方です。

ですから、基本的には、鉄道会社は鉄道会社の、
ホテルはホテルの、レストランはレストランのサービスを
障害の有無によって分け隔てることなく
提供することだと理解していただければハードルも下がると思います。



鉄道への変動運賃制導入検討を明記ー第二次交通政策基本計画を閣議決定

2021年05月29日 17:42   呉バリアフリーツアーセンター
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こんにちは、瀬戸口です。梅雨の晴れ間の暑くもない、寒くもない季節が好きです。
さて、ニュースをチェックしていたら気になるものありました。

「変動運賃制に期待と懸念 タクシーも導入検討」(5/28 産経新聞)
https://www.sankei.com


5/28、政府が第二次交通政策基本計画を閣議決定したというニュースです。

今後この国の交通や物流をどのように整備していくかということが書かれています。
もちろんバリアフリーも重要課題で、 駅やバスターミナル等の
さらなるバリアフリー化や新幹線での車いすスペース拡大が目指されています。

それとともに気になったのが、冒頭の新聞報道です。
「変動運賃」(ダイナミック・プライシング)とは、需要や曜日、季節で
サービス料金が変動する仕組みのことで、航空券や宿泊料金、高速バスでは
おなじみです。

わかりやすく言えば、高速バスに乗った時、
あなたは早割3000円で買いました。隣の人は出発直前に8000円で買いました。
でも、行先も座席グレードも同じです、ということがあるのです。
そういう仕組みを鉄道運賃に取り入れるかどうか、国として検討することを
表明したのです。

これが、バリアフリーと何の関係があるのか?過去の記事でも取り上げましたが、

その1

その2

その3

通常料金から割引く障害者割引よりも、価格変動による値下がりの方が
安くなることがあるということです。

例えば変動運賃の代表格、航空券を検索してみると、
6月最初の月曜日、6/7の日本航空、広島発、東京行きの最安値は、
256便と262便の「特便割引1」の17,490円に対して、
障害者割引は両便とも20,990円です。

予約変更の可否など価格がすべてでは無いにしても、
鉄道でも変動運賃のもとで障害者割引よりも
安い運賃が出てくるとすれば、
障害者割引そのものの意義や在り方が問われるようになるのも
時間の問題でしょう。

ただ、議論の過程で割引制度について取り上げられるとしても
短絡的な単なる増収策としてではなく、労働政策や社会保障を含めた、
広い視野のもと、すべての人の社会参加を支えるものとして
丁寧な議論が望まれます。


写真をクリックすると別ウィンドウで拡大写真を表示します。
添付画像


無人・省人化とバリアフリー

2021年05月26日 12:43   呉バリアフリーツアーセンター
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おはようございます、瀬戸口です。休みの日に奥さんと買い物に出かけました。
そろそろ夏が近いこともあり、服屋さんへ行きました。
緊急事態宣言下とはいえ、必要なものは必要ですからそれなりの人出が
ありました。人間を休業するわけにはいきませんからね。 

一通りのものを買い終え、レジに向かいます。少し見ない間に
レジがセルフ方式になっていました。
台の上に購入した商品を載せ、現金を投入。自分で袋詰めをしてお店をでます。
隣のレーンではセルフレジに慣れないお客さんを
店員さんが補助しています。 

今回のお店では、奥さんがレジをやったので問題なかったですが、
車いすに座ったままでは操作が難しそうです。
他にも、コンビニでは、卓上端末前に置かれた「レジ横商品」のおかげで
タッチパネルに届かないことがよくあります。

ここで注意しなければならないのは、セルフレジは「お客さんが自分で精算する」
ことを前提に設置されますが、「お客さん」が皆「セルフレジを使えるひと」とは
限らないのです。「お客さん」イコール「セルフレジを使えるひと」になると
「セルフレジを使えない」、「使いづらい」ひとは
「お客さん」から排除されてしまいます。

「排除」といえばこのブログで再々取り上げている「無人駅」問題も、
つまるところ、跨線橋の階段やホームの段差といった「使いづらさ」を
解消することなく、券売機と自動改札機を置いたので無人にします、と
やった結果、介助を必要とする利用客を排除するところに問題があるのです。

セルフレジに限らず、無人化・省人化の本質は、それまで従業員がやっていたことを機械やお客さんにやってもらうことでもあります。お客さんにやってもらうのであるなら高齢者や障害者を含め、
お客さんが安全・確実に利用できる環境を整える必要があるでしょう。