山陰を代表するアゴは今が旬です
ハダル@矢野です。梅雨明け10日とはよく言ったもので、高温と湿気に夏バテぎみの渡しとハダルです。
さて、「トビウオは本当に飛ぶのでしょうか?」。
それが本当に飛びます。ただし、鳥のようにはばたくのではなく、水面すれすれを全力で泳ぎつつ尾びれを激しくかいて助走をつけたのち、大きく張った胸鰭(むなびれ)を広げて水から飛び出して空中を“滑空”するというのが正解です。
シイラやマグロなど大型魚に追いかけられて、他の小魚たちは水中を逃げまどい食われるだけなのに、この魚だけがなぜに空中へと飛び出し脱出するに至ったのかは不明ですが、大自然の中で生き延びる手段として進化したのでしょうね。
その体色は見るからに青ザカナであって、生時の背は紺碧に青く、腹は銀白。鳥から見れば海に同化し、下から見上げれば光る海面に同化する自己防衛の装いです。
飛ぶための胸鰭は体並みに長く、広げれば翼のようです。とにかく飛ばねばなりませんので、筋肉をしっかり、かつスリムに蓄えなければならないのです。
そのことがこの魚の味わいにも直結しているのです。
高蛋白・低脂肪であり、まず味が濃くなるのもうなづけます。
鮮度が良ければショウガや七味醤油で刺し身でいただきます。
筋肉質で脂がないから、焼いて干せば鍛え抜かれた身から出るそのだしは優れ物です。
この魚は、世界中の暖かい海流に身を任せて北上し、沖縄から千葉沖、日本海の能登半島を越えたあたりまで獲れます。
小さい種類2種はツクシとホソと呼び分け、30cmを超えるような大きい種類はハマトビますが、総称して「あご」といいます。
夜間は光に集まる習性がありますので、山陰地方では船をゆっくり進めながら灯りを焚いて、まぶしさにボーっとしているトビウオをたも網で掬い獲る「あご掬い」なる伝統漁法が、今は島根半島の観光的季節の風物となっています。
また、竹輪のお化け版の「あご野焼き」はこんな魚から作られています。今回はなぜ、美味なのかの紹介でした。