「秋が深まる」と言うのに、「冬が深まる」と言わないのはなぜなんでし ょうか?
2025年10月01日 10:37
松江/山陰バリアフリーツアーセンター
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盲導犬アリア@矢野です。
もうすぐお彼岸となり、やっと夏も終わりなのでしょうか?
9月は、すでに秋になっているはずなんですが・・・。
今年は暑い秋になりそうな予感がしています。
一年があっという間に過ぎるようにに感じるのは、私だけでしょうか?
日本語には、さまざまな言い回しがあります。
なぜ「深まる」のは秋だけなのか?
「秋の気配」は言うけど、「夏の気配」は言わない。
「夏の扉」はあるけど、「冬の扉」はない。
オフコースや松田聖子の名曲ゆえの先入観があるせいかもしれませんけど。
でも、私たちの感覚として、それぞれの季節と言葉の相性というものが強くある気がするんです。
秋って、冬に向かってどんどん沈んでいくイメージがありますよね。
「暑い」から「寒い」、「明るい」から「暗い」へ下がっていく感覚。
だからこそ「深まる」なのかもしれませんね。
これに対して、冬はすでに底なので、さらに「深まる」要素はないんですよね。
「真夏」「真冬」が言えるのは、それぞれ「てっぺん」と「底」だからでしょうね。
秋にはてっぺんも底もないから「真秋」とは言わないんでしょうね。
秋が深まると聞くと、紅葉が広がる光景まで浮かぶんです。
季節が深まるって、日本語の表現としてすごく素敵だなと思うんですよね。
深い緑とか山が深いという使い方はありますけど、
夏がいくら暑くなっても「深まる」は違和感があるじゃないですか。
この頑固さがいいなと思うんです。
春はあたたかい季節への期待感があるからか、「春の足音」という言葉があるわけですけど。
とはいえ、春にも扉が似合わない。
川添:いい季節だけど、春には夏ほどの開放感がないということですかね。
ふかわ:ちなみに、三島由紀夫の小説には「浅春」という記述がありました。
文豪が使っていれば、なんでも正解にしていいものでもないと思いますが、わりと好きです。
川添:「浅春」かあ。いいですね。
春めいてきたけれど、まだ「春が来た」という喜びにどっぷり浸かるほどでもない、って感じですかね。
「早春」とはまた違った趣がありますね。
ふかわ:あと「冬将軍」。これは誰が言い出したのか。ナポレオンですかね?
侵攻するのに寒さにやられて敗北したことを由来とする言葉でしょうか?
なかなかセンスいいですよね。
でも、これもやはり、「将軍」は冬にしかつかないなと思うんですよ。
夏がどんなに暑くてバテたとしても、夏将軍にはならない。
将軍に薄着のイメージはないんですよ。
鎧や甲冑で。タンクトップではない。
見てみたいですけど。
川添:タンクトップだったら、将軍というよりも軍曹っぽいですね。
ふかわ:いまやNHKのニュースでも普通に使いますよね、冬将軍。
川添:『ゲーム・オブ・スローンズ』という海外ドラマでも「冬来たる」という言葉が
キーワードになっているんですけど、なんだかおどろおどろしいんですよね。
冬にはそういうイメージもありますね。
ふかわ:春将軍、秋将軍、ないですね。
やはり将軍は冬しか合わない。
これだけ猛暑が続くと、そのうち「夏軍曹」が現れるかもしれないですけど。