砂漠地帯では、死因の9割が溺死?!
ハダル@矢野です。今年は、長い梅雨の明けた8月。しつこく降り続いた雨に代わり、うだるような熱波が押し寄せていましたが、ここに来てやっと秋の虫声が聞こえる季節となりました。
国内でもっとも暑いとされる街は、埼玉県熊谷市です。2018年には、最高気温41・1℃を記録しましたね。
世界ではどうでしょうか?
現在公認されている観測史上最高気温はなんと56・7℃です。1913年7月10日にアメリカ・カリフォルニア州の砂漠地帯にあるデスバレーで記録されたものだそうです。
砂漠地帯では、8月の日中の気温が50℃を超えることは珍しくないようです。誰もが砂漠と聞いて想像するのは、熱中症と脱水症状、そしてその先にある「死」ではないでしょうか?
しかし、実は、砂漠地帯に住む人々にとっては、むしろ大量の水のほうが命を脅かす存在だそうです。全く逆なんです。
砂漠における年間降水量は、おおよそ25mm以下。これは、東京における9月の月間降水量と同水準なのだそうです。こう聞くと少なく感じるかもしれませんが、砂漠気候の地域では、この雨量が数日間のうちにまとめて降るそうです。
すると一体、どうなると思いますか?
それまでまったく雨の降らなかった地表は水分がなく、砂や土が固まっています。
普段の雨量が少ないため、都市部でも、雨水を通す排水溝は整備されていないのです。加えて、道路は透水性の高いアスファルトではなく、直射日光に耐えやすいコンクリートが多用されているのです。
すると、大量の雨水は地面に染み込みにくくなり、地表を流れる濁流へと変貌することとなります。
2009年11月、サウジアラビア西部にある国内第二の都市ジッダでは、6時間で72mmもの豪雨が街を襲うと、行き場を失った雨水は洪水となり、106人の命を奪ったそうです。
道路の上を2mも覆った雨水が、人々を溺死させたのです。一説には、砂漠における死因の9割が溺死だというのです。
酷暑の中、乾いた砂漠に降る「恵みの雨」というイメージは、現地の人々の実感からは程遠いものなのです。
おおよそ日本で暮らすわたしたちには想像もできない世界なんです。