松江/山陰バリアフリーツアーセンター
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秋の松江ならスズキの奉書焼でしょうか?

2017年10月20日 15:51   松江/山陰バリアフリーツアーセンター
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ハウル@矢野です。
松江について語るときに必ず登場する人物が、松江藩主だった不昧公こと松平治郷ですね。江戸時代の代表的茶人のひとりとして知られ、文化の薫り高い現在の松江の町の性格を築いた人でもあります。松江では不昧公にまつわる話が多々伝えられていますが、この「スズキの奉書焼き」もそんな”不昧公好み”といわれる松江の郷土料理のひとつです。
こんな逸話が残っています。昔、漁師たちが焚き火の灰の中でスズキを焼いていたところに不昧公が通りかかり、所望されたところ、灰だらけでは恐れ多いと奉書紙に包んで献上したのがはじまりだと。スズキは稚魚から成魚になるまで魚の成長により名前が変わるめでたい”出世魚”であり、海水と真水とが混じり合う汽水湖である宍道湖でとれる名物を集めた宍道湖七珍のひとつでもあります。
焼いた奉書の香りがスズキに移ってほんのり香ばしい奉書焼きですが、庶民が口にできるようになったのは明治時代になってから。何でもあまりにもおいしいので、松江藩が特産品の高級魚として門外不出にしていたそうな。
さて、そんな宍道湖のスズキの旬は晩秋から初冬にかけて。11月中旬以降には、同じく七珍のひとつであるシラウオ漁が解禁になり、また旧暦のため時期は毎年少し変わりますが、神在月で出雲大社の神在祭が行われる時期にもほぼ重なります。つまり、松江を訪れるには、このころが絶好のシーズンなのです。

すずきの奉書焼きの一口メモです。
江戸時代から伝わる名物料理。宍道湖七珍味の一つに数えられるすずきを、ぬらした奉書紙(上質の和紙)を何校か重ねて包み、叫灰火で焼いたもの。ぬれた和紙が火力を抑え、余分な脂肪を吸収するため、淡泊で上品なすずきの白身がいっそう
口あたりよく、おいしく仕上がる。これを、紅葉おろし、わさびじょうゆ、煮返しじょうゆのたれなどで食べる。ただし、最近では、すずきをまるごとではなく、うろこと苦玉(肝)をとり除いたうえで奉書に包み、天火で焼いている。
すずきの旬は夏で、この時期のものは洗いや刺身にするが、奉書焼きの季節は冬で ある。とくに産卵をひかえた腹太すずきがよく、この地方の正月料理に欠かせないも のとなっている。