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毎日新聞の記事をご紹介します。 はた目には分かりにくい発達障害の子どもたちとその親に、東日本大震災の被災地で行政などの支援が十分届いていない。乳児のような夜泣きなどの症状が周囲の理解を得られず、避難所でつらい思いをするケースも多い。岩手県大船渡市の患者を訪ねた小児科医の根津純子さん(37)=東京都世田谷区=は「ただでさえ困難な避難所生活で、さらにストレスがかかり孤立化している」と指摘する。 軽度の発達障害がある長女(4)の母親(25)は根津さんに打ち明けた。「いっそ家と一緒に流された方がよかったとさえ考えた」。自宅が津波に流され、近くの公民館で避難生活を送る。夜泣きの苦情を恐れ、車中で夜を明かしたこともあった。「障害が見た目には分からず、娘が騒ぐと『しつけが悪い』と言われる」 長女は大きなサイズの子ども用おむつを使う。頼みの救援物資は成人用と普通サイズの乳児用が主で、大きなサイズは数少ない。「なんで大きい子が」「また来た」。冷ややかな目線を感じ、いたたまれなくなった。 かつて同市で勤務し相談に乗っていた根津さんがおむつを持参すると母親は感謝しながらこぼした。「せめて同年代の子どもをひと部屋にまとめてくれたら母親同士で支え合うこともできるのに」 発達障害の長男(7)がいる同市の野田悦子さん(37)は被災を免れた高台の自宅で暮らす。3月末まで断水が続いていた。「津波で浸水したとしても少しでも使えるスペースがあったら自宅で過ごしていた」。長男は興奮すると、大人が見ていてもテレビを消すなどのいたずらをするので避難所暮らしは考えなかった。だが、仮設風呂設置などの生活情報や食料に事欠いた。
大船渡市は市内の発達障害児を約30人と見ているが、そのうち、津波で家を失うなどして支援が必要な人数は分かっていない。どこに親子がいて、どんな要望があるのか、ニーズの把握が難しいという。市は、大型連休中にも市内の福祉施設を高齢者や障害者が集まる「福祉避難所」に指定する予定だ。だが、排せつ介助の必要な高齢者や重度の障害児が優先され、発達障害の子どもたちが入所できる見通しは立っていない。【徳野仁子】
毎日新聞 2011年4月27日
URL:http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110428k0000m040019000c.html
2011年4月21日 読売新聞の記事をご紹介します。
避難所へ案内/給水や買い出し
東日本大震災で被災した住民の中には、視覚障害者もいる。地域の住民に生活を支えられているケースも多いという。視覚障害者の支援団体では情報提供を呼びかけている。
宮城県塩釜市に住む、ともに全盲の高橋末雄さん(68)とサエさん(68)夫婦は、3月11日、大津波警報を聞き、白杖のほかは荷物もほとんど持たずにアパートの外に出た。住民が夫婦の手を引き、近くの小学校の体育館に連れて行ってくれた。
ここで6日間過ごしたが、問題はトイレ。「つえを使っても邪魔になるし、かと言って、連れて行ってもらうのも気が引けて」と高橋さん。
見かねた住民が、トイレの近くのスペースを確保してくれた。自治会の会長らが市と交渉してくれ、福祉施設への移動が実現した。地元の災害ボランティアが病院、理髪店などに付き添ってくれた。
アパートに大きな被害はなく、3月下旬から戻って暮らしている。4月7日の余震で断水と停電が起きたが、災害ボランティアが給水車から水をくんできてくれたり買い物をしてくれたりしたという。
「余震が多いので心が休まりません。ただ、避難所暮らしでこれまでつきあいのなかった地元の人と知り合いになれた。人生の財産です」
今回の震災では視覚障害者の被災状況は分かっていない。視覚障害者の団体などでつくる社会福祉法人日本盲人福祉委員会(東京)では3月下旬に支援対策本部を設置。岩手、宮城、福島の3県で、点字図書館の利用者など約2400人について、自宅に電話したり避難所を訪問したりして安否や所在を確認している。白杖や携帯ラジオ、音声時計などを提供し、ほかに必要な支援がないかも確認している。近所づきあいが盛んな地域だけに、地元住民に支えられているケースも多いという。
ただ、周りの人が視覚障害者だと気づいていないケースもある。また、点字図書館などを利用していない視覚障害者は、被災の状況把握や支援はさらに難しい状況だという。
同本部事務局長の加藤俊和さんは「目が不自由そうな人がいれば、声をかけてほしい。そのうえで、本人の了解を得て、委員会へ連絡をしてください」と話す。委員会の現地対策本部の連絡先は090・1704・0437。
掲載されていたサイトURL:
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=39743
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