[震災生活ドキュメント]視覚障害者、ご近所が支援
2011年4月21日 読売新聞の記事をご紹介します。
避難所へ案内/給水や買い出し
東日本大震災で被災した住民の中には、視覚障害者もいる。地域の住民に生活を支えられているケースも多いという。視覚障害者の支援団体では情報提供を呼びかけている。
宮城県塩釜市に住む、ともに全盲の高橋末雄さん(68)とサエさん(68)夫婦は、3月11日、大津波警報を聞き、白杖のほかは荷物もほとんど持たずにアパートの外に出た。住民が夫婦の手を引き、近くの小学校の体育館に連れて行ってくれた。
ここで6日間過ごしたが、問題はトイレ。「つえを使っても邪魔になるし、かと言って、連れて行ってもらうのも気が引けて」と高橋さん。
見かねた住民が、トイレの近くのスペースを確保してくれた。自治会の会長らが市と交渉してくれ、福祉施設への移動が実現した。地元の災害ボランティアが病院、理髪店などに付き添ってくれた。
アパートに大きな被害はなく、3月下旬から戻って暮らしている。4月7日の余震で断水と停電が起きたが、災害ボランティアが給水車から水をくんできてくれたり買い物をしてくれたりしたという。
「余震が多いので心が休まりません。ただ、避難所暮らしでこれまでつきあいのなかった地元の人と知り合いになれた。人生の財産です」
今回の震災では視覚障害者の被災状況は分かっていない。視覚障害者の団体などでつくる社会福祉法人日本盲人福祉委員会(東京)では3月下旬に支援対策本部を設置。岩手、宮城、福島の3県で、点字図書館の利用者など約2400人について、自宅に電話したり避難所を訪問したりして安否や所在を確認している。白杖や携帯ラジオ、音声時計などを提供し、ほかに必要な支援がないかも確認している。近所づきあいが盛んな地域だけに、地元住民に支えられているケースも多いという。
ただ、周りの人が視覚障害者だと気づいていないケースもある。また、点字図書館などを利用していない視覚障害者は、被災の状況把握や支援はさらに難しい状況だという。
同本部事務局長の加藤俊和さんは「目が不自由そうな人がいれば、声をかけてほしい。そのうえで、本人の了解を得て、委員会へ連絡をしてください」と話す。委員会の現地対策本部の連絡先は090・1704・0437。
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