一言コメント:
私たちは、福岡県を中心にバリアフリー調査やバリアフリー施設の案内を行っています。
本格的な活動を開始したばかりの団体です。どうぞよろしくお願いします。
バリアフリーネットワーク九州会議
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2011年08月22日
asahi.comより
バリアフリーファッションのデザイナー 須上 喜代江さん(62)
障害や病気、年齢を超えておしゃれを楽しめたら――。「バリアフリーファッション」として、着やすさと脱ぎやすさ、着心地に心を配ったおしゃれなデザインの服を提案する。
福岡市博多区の自宅で工房「アトリエ キヨ」を営む。ミシン2台を使い、服のデザインのほか、着物のリメークなどリフォームも手がける。
北九州市出身。事務員だった20歳代のころ、教室に週3回通うほど洋裁に熱中した。30、40歳代は知人のバレエの衣装や自分の服を趣味で作った。いつもそばにミシンがあった。好きなことを職にしようと、50歳代で服のリフォーム店に転職した。
転機は2003年ごろ。大分市の服飾デザイナー、鶴丸礼子さん(54)が取り組むバリアフリーファッションの新聞記事を読んだ。「服は、着る薬」との言葉に、「自分にないものを学びたい」と約8カ月間、大分へ毎週通い、技術を学んだ。
05年に独立して開業。関節痛で服の脱ぎ着が難しいリウマチ患者らの間で知られるようになり、少しずつ注文が増えた。
夫に着替えを手伝ってもらっていたリウマチの女性は、一人でも着たり脱いだりできるようファスナーの付いたシャツを作ると、「おしゃれができる」と喜んでくれた。障害で寝たきりの中学生の女の子に作ったジーパンは、着心地を考えて尻のポケットを外し、代わりに糸でポケットの形を描いた。はく時に腰まで上げやすいよう、介助する人の指を入れられるベルトループも付けた。
大事にしているのは、鶴丸さんから言われた「先生は私ではなく、お客様」という言葉だ。必ず依頼した人と直接会い、どんなデザインにすれば快適なのかを確かめる。ファスナーの形は何がいいか、ボタンとマジックテープのどちらがいいか、左手と右手どちらを使うのか――。そんな細かなことが着心地の良さにつながる。仮縫いの段階でも必ず試着してもらう。
約2年前から数回、NPO活動や個人的な縁でバリアフリーファッションショーを開いている。モデルや観客の表情が華やぐのがうれしい。高齢者福祉施設で開いたとき、ショーの間、誰もトイレに行くブザーを鳴らさなかったと職員から聞いた。
「福祉の仕事をしているとは思っていないんです。誰でも楽に着られておしゃれを楽しめたら、それでいい」。障害や病気のある子どもたちに広めていくのが、これからの目標だ。
・記者から
取材中、試着を勧められた。
前身頃にファスナーのついたTシャツや、輪っかを腰にはめて着るエプロン。「楽に着られるんですね」と記者が驚くたびに、「そうでしょう。デザインもすてきでしょう。この色も合うかも」と別の作品を持ってきてくれる。柔らかい雰囲気と相まって、おしゃれ好きの少女と話しているような感覚になった。
何度か取材したが、「バリアフリーファッションとは」なんて堅い説明は最後までなし。おしゃれを誰もが楽しめたらいい。そんな純粋な気持ちを原動力に、日々ミシンに向かっているのだろう。(柴田菜々子)
asahi.comURL:http://mytown.asahi.com/fukuoka/news.php?k_id=41000731108220001