鳥羽市一斉津波避難訓練
こんにちは
NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター 中村千枝です。
ひと月以上前の話になりますが・・・
11月5日(土曜日)、鳥羽市一斉津波避難訓練がありました。
これは、東海、東南海、南海の3連動地震が発生し、
マグニチュード(M)9・震度7の揺れと6メートルを超える大津波が襲ったとの想定の訓練。
鳥羽市民の1/3にあたる、約7500人が参加しての訓練となりました。
伊勢志摩バリアフリーツアーセンターでは、
車いすの市民や観光客がとのように避難するかを検証するため、2班にわかれて参加。
1班: 近鉄鳥羽駅構内 → JR側の階段を下りる → 日和山まで
2班: ミキモト真珠島 → 島内の丘(標高14メートル)まで
それぞれ、車いすのスタッフやボランティアらと共に避難しました。
近鉄鳥羽駅の駅員さんや、ミキモト真珠島のスタッフの方には、
東京の国際福祉機器展に行ったときに見つけてきた便利グッズ
『おんぶらっく』を使って車いすのスタッフをおんぶしていただき、
避難所までの経路(階段を下りたり、丘を登る)に添って避難・誘導していただきました。
JR側階段~日和山参道入口付近
ミキモト真珠島
避難については、各事業所の方の先導により、スムーズに避難することができ、
まずまずの成果があったと思います。
しかし、鳥羽駅周辺では、高台へ逃げるにはどうしてもJR側へ行く必要があるのですが
JR側には、スロープやエレベーターが無く、階段での避難となります。
階段を下りることのできない高齢者や足の不自由な方、けが人などは
海側の高層ホテル(戸田屋や鳥羽国際ホテル)に逃げるという選択肢もあるのでは?
と感じました。
また、避難に使用した『おんぶらっく』についても検証。
今回は、メーカーの方にも来ていただき、
ミキモト真珠島では前日に装着方法をスタッフに説明。
当日も、正しく装着をできているかを確認しながら使用していただきした。
本番前にスタッフ同士で装着の練習
近鉄鳥羽駅では、事務局長が近鉄職員にレクチャー。
この『おんぶらっく』は、一般のおんぶひもと違い、
「背負う人が両手を自由に使うことができる」のが利点。
今回も、階段の手すりにつかまりながら安全に避難することができました。
ただし、おんぶする側は体力的にかなりきつかったようで、
ミキモト真珠島のスタッフは、避難場所に到着した時には、
息も絶え絶え。。。
ミキモト真珠島のスタッフの方、お疲れ様でした。
鳥羽駅組も、日和山の入口から数十メートルしか登ることができませんでした。
やはり、大人を背負っての避難となると、かなり体力を消耗するのですね。
鳥羽市内の避難所の多くが、舗装していない山道だったり、階段だったりします。
特に離島などでは細い急な坂道も多く、車いすでは走行できないところがほとんど。
また、地震発生後は瓦礫の散乱で、
坂道でも車いすでは走行できないことが予想されます。
そんな時の避難方法の1つとして、今回使用した『おんぶらっく』が活用できそう。
また、避難の時だけでなく、災害が起こった後にも使えます。
たとえば、けが人や、パニックで動けなくなった人をより安全な場所へ移動する時や、
避難所内での移動など。
特に避難所に階段しか無い場合や、停電でエレベーターが使えない時など、
高齢者や足の不自由な方を安全に移動させることに使えそうです。
今までの避難訓練は「火災」に重点が置かれがちで、
昨年の旅館組合の避難訓練へは、
「車いすの宿泊客を『どうやって下ろすか』」という点から訓練に参加していました。
が、「どうやって下ろすか」だけでなく、「どうやって上げるか」も重要なのだ、と
震災によって、気づかされた今年。
鳥羽は観光のまち。
万が一の時には、避難場所と避難方法とを知っている観光従事者が観光客を誘導して、
迅速に適切な場所まで避難させることが重要です。
責任重大です。